“礎石”と言えば、建築物の中心にあって柱を支えるものを想像するのだけれども、
イタリア語で礎石は”Pietra angolare”角っこの石。
角っこ、隅っこにある、基準となる石という意味になる。
建築様式の違いなので、語感にも誤差が生まれてしまうのは仕方がない。
なので、建築用語としての”Plinto” (礎盤)が近いかもしれないとは思うが、物理的には若干違うらしい。
礎盤は、”柱と礎石の間に置かれる台“なんだそうで。
作ったものについては、
まず形態の垂直面、垂直面に対して斜めに角度をつけた面、水平面、そこを繋ぐ曲面を、如何にかして表現をしたいと思っていた。
そうしたら、全体として家の鍵みたいな形になった。

あと素材について。
とても質の良い黒御影石が手に入っていた。
石材屋さんで見つけた掘り出し物。
目が非常に細かく、黒色が深く、均一。
完璧な磨きを施すことによって、深い石本来の色が出ることは間違いなかった。
機械磨きではなく、手磨きでなければならない。
黒御影石は鉄よりも硬度が高いので、時間をかけて番数を少しずつ上げ、丹念に磨いていった。

今思い出しても、あれは良い石だった。
ハツる時には金属質の匂いがした。
ただ、技術的には大体なんとかなっていたが、石の存在感には負けてしまっていたかな、とも思う。
やりたい事を全面に押し出すには、物質的に不可能な形態が必要になるものの、
物質としてそこに在るものである以上、どうしても裏面が存在してしまうものなのだ。
解決方法はあるのだろうか?

礎石・Plinto
H33W86D37(cm) 2001年
黒御影石