空論・Logica dell’impossibile

切れ端の存在しない一本の長い帯を作りたかった。

これは、大学の鉄を使って課題だった。

確か2枚の鉄板が与えられ、取ったばかりのガス溶接免許で、その未熟な技術を使い、切ったりくっつけたりして制作する楽しい授業。

私は鉄板を帯状にランダムに切って、一枚一枚の帯を赤くなるまで熱して、ハンマーで叩いて、
帯の端っこはグラインダーで少し形を整えてから、同様に作った帯を繋げていった。

最終的に一本にしたので、もちろん端っこが二つできた。
本当は端っこは欲しくなかったのに。

一本の帯だけれども、端っこが存在しない帯を作りたかったのだ。

友人には「だったらメビウスの帯みたいにしたらいいんじゃない?」と、真っ当なコメントをもらったけど、それはダメなのだ、と説明していた記憶。

割と長い帯になったし、鉄自体をかなり叩いていたので、自然な湾曲ができて、
与えられた鉄板2枚分を全て使ったら、このようになった。

端っこがない帯とは、何なのだろう。何か意味があったのだろうか。

制作したいた本人も、記憶を振り返っている本人も、なぜか分からない。

作品的には、もっとこれの5倍とか10倍とか、量を増やしてみたら、また見え方は違っただろうと思う。

もしかしたら、講評でそんな事も言われていたかもしれない。

というわけで、”机上の空論”だと思った。

本当に空論です。

空論・Logica dell’impossibile

H50W100D150(cm)サイズ可変 2000年