私はその家に居た。今家は空だ。
四人家族だった。
一人、一人、と別の道を選択し、
私は4年間の大学生活を終えた後に戻り、
既にズレてしまって存在しない四人家族を思い出した。
そして私はまた別の道を選択し、
随分経って、家の主が一人居った場所に
家の主すら居なくなっているのを見て、
手を合わせた。
“ズレ”ているという主観はその元の姿を起点にするからであって、
それも自然な成り行きなのである。
丁寧に手を合わせる。
家族ごっこ・Simulazione di una famiglia
H27W37D41(cm)2004年
黒御影石, 100円ショップのお猪口