“アンヘドニア“という語をどこで知ったか記憶にない。
ただ、感情が平たくなりすぎるという経験は誰にでもあるのではないかと思う。
消化され、有機質である事がぎりぎり分かる程度の塊になってしまった、
それが己なのか排泄物なのかもよく分からないが、
外見は飾っておく必要があるように思えた。
20年程経ってから有機物を飾る図像を思い起こして、
飾ってよかったと思った。
それがこちら。
フィレンツェ郊外にあるメディチ別荘カステッロにあるアカデミア・デッラ・クルスカ。
16世紀よりイタリア語に関する研究を続けている機関で、
アカデミア会員のモットーがスコップに描かれている。
小麦(言語)の脱穀(洗練)に関するモットーを会員それぞれが持っていて、
これは小麦が黄金のチェーンで”ABBELLITO(装飾された)”というもの。
こんな素敵なスコップを先に観ていたならば、
石の装飾に100円ショップで手に入れたクリスマス用オーナメントは使わなかったかもしれない…。
(それはそれで気に入っていたのだけれどもね)
似非アンヘドニア・Pseudo-Anhedonia
H37W54D49(cm)2003年
小松石,装飾物