ザムザ氏
言うまでもなくザムザ氏とは、フランツ・カフカの代表作のひとつ『変身』の主人公グレーゴル・ザムザ。
この本について、文学的に社会背景として等々云々より、
“ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目を覚ますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。”
「変身」 カフカ の冒頭より
一匹の巨大な虫!
自分が、少なくとも私が最も嫌悪する存在である虫に変化しているとは、なんたる悪夢。
(昆虫好きの皆様すみません)
自分自身が一番の嫌悪の対象になったとしたら如何なものなのだろう。
その嫌悪感は、おそらく人間としての存在できている現在の自分の嫌悪する部分の比ではない。
嫌悪する部分、醜形恐怖に近い過敏な自己嫌悪
理性的な部分では、必要のない嫌悪であると理解していたのだが、
どうしても繰り返し襲われた自己嫌悪の波について。
何が問題だったのか。
その頃に悩まされた腰痛の原因となっていた、体のあらゆるアンバランスだったろうか。
他人と比べて違う何かだったろうか。
求められる可愛さだったろうか、頼りなさだったろうか、協調性だったろうか、
安定した人格だったろうか、
もしくは、
思い起こされる全ての嫌悪。
過去の私は思い返せば、現在の私でもあり。
得体の知れない波への恐怖はありありと目の前に浮かぶ現実である。
嫌悪する 『ザムザ氏 = 私』
ブロンズ粘土で自室のデスクで作った、
手のひらに入る大きさのザムザ氏。
どうも醜いものを作ろうとする時にブロンズ粘土を使用するきらいがあるが、
ブロンズ粘土自体への嫌悪はない、。
ザムザ氏・Gregor Samsa (3点全て)
直径約5cm 2004年
ブロンズ粘土, ワイヤータイ