あれだけ強固に思えた自己は・Credevo di essere me stessa incrollabile

自己という仮面

おそらくなのだけれども。

誰もが自己という仮面を被っていて、

それを自分の顔だと、己自身だと信じてるのだけれども、

実際のところ、それは剥がれ落ちる外側の皮。

信じていた己自身

それは、突如として剥がれ落ちる。

あれだけ信じていたのに。

あれだけ拠り所になって、

支えてくれて、

原動力になってくれて、

励ましてくれて、

行き詰まった時にでも温かく包んでくれて。

信じていたのに!

あなたの事を必要としている今、何故?

そして、

自身の中核であった存在は、「あなた」と呼ぶ存在になっていた。

あなたは、もう私ではない。

不可分だった私は、

あなたとは永久に分離されてしまった。

あなたを見つめる

そこには、あなたがいる。

わたしだったあなた。

表面張力のごとく表皮はつるっとしている。

目が見える。

目だけ見える。

こちらを向いているようでもあり、

だけど、焦点がどこにあるのかは、

分からない。

あれだけ強固に思われた自己は・Credevo di essere me stessa incrollabile

H23W33D45(cm) 2002年
黒御影石